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001:聖神中央教会

2006年2月23日 (木)

聖神中央教会・金保に懲役20年判決ですが

 教会内での聖虐待事件について、京都地裁でこういう判決が出たわけで、そりゃまあ当然だろうと思います。
 奇しくも、この判決が出る直前、このブログの過去の記事に「聖神中央教会である役職をになっていたもの」という方からのコメントがありました。

2005年4月11日 (月)
理解に苦しむ浅見定雄コメント

 「副牧師、長老、役員たちですら事実関係をまったく知らないまま突然起きた事件でした」と、飽くまでも金保個人の犯罪ということで片付けようとするかのような意見で、事件直後に類似の声明を出した浅見定雄氏を支援する内容です。
 しかし、どう考えても、こういうスタンスで聖神中央教会事件を評価するのって、おかしいんですよね(浅見氏については、当時拙速な意見を出したというだけで、現在も同じ意見なのかどうかは知りませんが)。

 浅見声明の直後には、十数人もの教会幹部が京都府警の事情聴取に「永田容疑者が牧師室で少女に暴行しているのを知っていた」と語っているとの報道もありました。
 つい最近も、横浜支部の牧師が子どもに暴力をふるった件で訴えられています。聖神中央教会の現代表・西山務牧師にしても、金保逮捕後に記者会見で「捜査結果を待ちたいが、私たちは永田牧師(金容疑者)が無実であると信じています」などと語り(2005年4月27日共同通信)、内部調査すら行わないとしていました。いまでは事件について「事件は教会とは関係がない。被告自身の問題」という論理で(2006年2月21日共同通信)、ヤフーニュースの日経新聞記事によれば、「聖書の言葉の通り人は人を裁かない」と言って教団としての真相究明には依然として取り組まない姿勢を示しているとのことです。
 やっぱり、組織ぐるみでおかしい団体でしょう。聖神中央教会の問題は、「金保だけ」でも「性虐待だけ」でもないと思います。

2005年10月 2日 (日)

聖神中央教会の進出予定地住民が町長と知事に要望書

聖神中央教会の進出に反対、要望書提出 久御山・東一口の住民ら(9月28日・京都新聞)

 聖神中央教会が移転予定地を購入した京都府久世郡久御山町大字東一口の住民が作る対策会議が、町長と府知事に対して、移転に反対する署名と行政指導を求める要望書を提出したとのこと。記事では、聖神中央教会の西山務代表が「残った信者は純粋に信仰している。誤解される教会ではないことを理解してほしい」と語ったとしています。
 が、しかし、この西山代表という人は、聖神中央教会の金保牧師によるレイプ事件が発覚した後の最初の記者会見で、内部調査すらしていないのに「私たちは永田牧師(金容疑者)が無実であると信じています」などと言い放った人物。
 宗教団体の進出を行政が阻止できるものなのか(していいのか)は、実際の問題や教団の過去や実情にもよると思うので、一概に評価できない気がします。でも、金牧師逮捕後の聖神中央教会という団体や代表者が信用できるかどうかとなると、ちょっと難しそうですね。
 上の記事で紹介されている西山台表のコメントにツッコミを入れるなら、そもそも、「純粋に信仰している」かどうかはハッキリ言って問題ではありません。仮に問題ある団体を純粋に信仰しているのだとしたら、それはむしろ社会的には危険視すべきでしょう。
 「誤解される教会ではない」と言っても、代表自身の言動がヘンだったわけだし、理解してもらうのはなかなか難しいだろうと思います。

2005年6月 8日 (水)

聖神中央教会事件

元牧師らに2億3千万請求 八幡の性的暴行 被害少女ら提訴(6/7・京都新聞)

 少女5人と成人女性2人が、聖神中央教会の元主管牧師・永田(キム)被告と教会を相手に、慰謝料など総額約2億3000万円の損害賠償を求めてた訴訟を京都地裁に起したとのこと。請求額は1人あたり3300万円で、成人については献金や労働をさせられた損害賠償も含んでいると報道されている。
 記事によると、被害者の会代表は「牧師は教会から任命されており、職務中に犯罪を起こせば教会にも責任がある」と主張している。
 法的にはどうだかわからないけれど、教会の代表者が宗教の論理を使って教会内で性虐待をして、それで何年にもわたって大量の被害者を出しつづけていたのだから、ふつうに考えてキム以外がその事実を全く知らなかったということもありえない気がする。常識的に考えて、教会の責任が問われるのも当然。
 「理解に苦しむ浅見定雄コメント」でも紹介したけれど、この犯罪をキムと熊谷の逸脱行為と矮小化する意見もある。だけど今回の訴訟は、献金や労働に関する損害賠償も含んでいるとされていて、このふたつはレイプに比べて必ずしも「密室性」はないというか、教会という組織との関連が強そうな気もする。
 果たして、拙速に「組織ではなく個人の問題」にしたがった人々の見解がどれだけ正しいのか、裁判の行方に注目したいところ。

 ちなみに、ぼくは、事件発覚後少ししてから、いちどだけ聖神中央教会の礼拝に参加している。韓国人の牧師が韓国語で説教をし、やはり韓国人っぽい男がたどたどしい日本語で通訳をしていた。その場にいた人によると、牧師は「リー」という人だったらしい。
「(キムの件には)タッチするな。全ては神が裁く」
 などという発言もあった。ふざけんな。これほどの事件、神云々以前に法と良識で裁け。
 当時、こいつらは教会での内部調査もせず、しかも後の記者会見で代表者が「キムの無実を信じる」みたいな発言までしていた。こういう端々から、この集団がキムがいなくなった後もなお異常な集団であることがわかる。
 ある元信者は、ぼくに、こう言った。
「キムがいなくなっただけでは教会は変わらない。キム以外にも、暴力牧師がまだ残っている。教会を潰さない限り、暴力の被害は出つづける」
 被害者の会も、「ほかにも逮捕して欲しい人がいる」みたいなことを会見で言っていた記憶がある。

 一方、刑事事件の方では、キムが少女2人に対する7件の女性暴行と準女性暴行の容疑で追起訴されたとのこと。

少女暴行で元牧師追起訴(6/7・京都新聞)

 別媒体の関連記事によると、京都地検はさらに追起訴して、6月中旬には捜査を終える方針だとか。

2005年5月17日 (火)

聖神中央教会事件・元主管牧師追起訴

 永田被告を追起訴 聖神中央教会事件 別の容疑で再逮捕へ(5/16京都新聞)
 女性暴行で元牧師追起訴/別の容疑で再逮捕へ(5/16四国新聞)

 聖神中央教会の元主管牧師・金保容疑者が、女性暴行や準女性暴行などの罪で追起訴されたとのこと。
 京都新聞の記事では、容疑の内容について「元信者の女児が宗教的なマインドコントロールで抵抗できない状態で暴行されたとして」と説明している。検察とかの発表にそういう文言があったんだろうか。それとも京都新聞の取材にもとづく表現なんだろうか。
 どっちでもいいけど、そんな「イメージ的にはわかりやすい意味不明な表現」はやめてほしいもんだ。最近、密かに愛読している怪しいサイトの表現を借りれば、

いい加減にしないか!!!

 って感じだ。「宗教のマインド・コントロール」の科学的(あるいは法的な)定義って、なんかあんですか?
 いや、いまさら、そんなことに興味はない。そもそも「マインド・コントロールという手法」そのものに関する科学的定義なんてないんだから。
「これは悪いコントロールですね。宗教的ですね。じゃあ、宗教的マインド・コントロール(宗教上のよろしくない操作or影響力)ですね」
 言えてせいぜいその程度。でもそれは「悪いことである」という評価をくだしたということであって、マインド・コントロールの定義には全く結びつかない。

 ぼくが興味があるのも、そしておそらく一般向けの情報として必要なのも、「具体的にどんなコントロールだったのか」だ。裁判で問題になるのもそこだろう。「マインド・コントロール」なんて言葉は必要ない上に、「マインド・コントロールである」としか言わないなら、何も言っていないに等しい。
 悪いことだというのはイメージとしてわかるが、何がどう悪いのかは「宗教的マインド・コントロール」という言葉ではサッパリ伝わらないわけだ。そんな中身のない言葉より、「オレの相手をしないと地獄に落ちるなどと脅して女性をコントロールし」みたいな言い方をした方が、よっぽど問題の内容がわかるというもの。

 ちなみに、同じく追起訴を報じた四国新聞の記事には「マインド・コントロール」という言葉は出てきていない。

2005年5月 6日 (金)

被害者の会・聖神中央教会 双方の記者会見

 Yahooニュースに配信された、被害者の会の記者会見に関する記事。

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牧師婦女暴行:実態解明と厳罰を 被害者の会「民事責任、教会にも」/京都

◇牧師、暴行で再逮捕
 八幡市の宗教法人「聖神中央教会」代表の牧師、金保容疑者(61)による信者への婦女暴行事件で、京都地検は26日、同容疑者を婦女暴行容疑で起訴し、府警も別の元信者の少女への暴行で再逮捕した。これを受けて被害者の会が記者会見を行い、佐賀千恵美弁護士は「公判請求が正当に行われたと受け止めている」として被害の実態解明と同容疑者の厳罰を求めた。また同会代表の村上密牧師は、教会幹部の金子直美容疑者(37)が婦女暴行ほう助容疑で逮捕されたことについて「教会にはまだ他にも逮捕してほしい人たちがいる」とコメントした。
 教会が新体制に向けて準備していることについて村上牧師は「開かれた教会に立て直すのなら、教会内部だけで決めるのではなく、被害者側の提案をしっかりと受け入れるべきだ」と批判した。
 また現在、数人の被害者が金容疑者と教会に賠償を求める民事訴訟の準備をしているが、佐賀弁護士は「民事責任は金容疑者だけでなく教会にもあると考えている。両者がどう責任をとるのか、これからの問題だ」と話した。【松田栄二郎】

4月27日朝刊
(毎日新聞) - 4月27日16時55分更新
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 一方、聖神中央教会側の記者会見に関する記事。

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金容疑者の代表を解任 聖神中央教会が初めて会見

 京都府八幡市の宗教法人「聖神中央教会」が27日、事件後、初めて教会で記者会見し、信者の少女への強姦(ごうかん)罪で起訴、再逮捕された同教会代表の主管牧師金保容疑者(61)を解任したと発表した。
 教会側は「お騒がせしたことを心からおわびします」と謝罪したが、組織的関与は否定。教会に対する名誉棄損などで金容疑者に損害賠償を求める訴訟を起こすことも検討しているという。
 新代表の西山務牧師は「捜査結果を待ちたいが、私たちは永田牧師(金容疑者)が無実であると信じています」と述べ、金容疑者の性的暴行や教会幹部の関与について「知らなかった。被害者や幹部が脱会しているので、司直の捜査に任せる」と話した。
(共同通信) - 4月27日17時57分更新
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牧師婦女暴行:牧師の逮捕後も現信者調査せず--聖神中央教会が会見 /京都

 八幡市の宗教法人「聖神中央教会」創立者の牧師、金保容疑者(61)による信者への婦女暴行事件で、教会は27日の記者会見で同容疑者に対する損害賠償請求を検討する一方、事件への組織的関与を完全否定した。しかし、逮捕後も教会は現信者に対する聞き取り調査をせず、また一部幹部が「事件を知らなかった」と答えるだけで関与を否定したため記者から具体的証拠を示すように求められた幹部が口ごもる場面もあった。【松田栄二郎】

4月28日朝刊
(毎日新聞) - 4月28日17時0分更新
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 聖神中央教会の記者会見の内容は、なんだかちぐはぐだ。自主的な内部調査は、やんないつもりらしい。ところが記事では、金容疑者を訴えるとか言ってる反面、西山代表が「私たちは永田牧師(金容疑者)が無実であると信じています」と言ったとなっている。読んだときは正直、目を疑った。
 ちなみに、Yahooではこんなニュース↓も配信されている。

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幹部ら「知っていた」 金容疑者の少女暴行事件

 京都府八幡市の「聖神中央教会」代表金保容疑者(61)による女性暴行事件で、教会幹部ら10数人が京都府警の事情聴取に「金容疑者が牧師室で少女に暴行しているのを知っていた」と話していることが16日、分かった。
 府警は金容疑者の暴行を裏付ける証言とみて、否認を続ける金容疑者をさらに追及している。
 調べでは、府警が聴取した幹部ら全員が金容疑者の暴行を知っていたといい、「かなり前から知っていた」と話した幹部もいるという。
 別の暴行容疑で逮捕された幹部熊谷由美江容疑者(37)も府警の調べに金容疑者の暴行について「気付いていた」との供述を始めたとされる。
(共同通信) - 4月16日12時32分更新
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 これでも内部調査もせずに、会の代表が公式の場で「無実と信じる」と言い放つとは、組織としての常識のなさがうかがえる。神を信じるかどうかというレベルの話ならともかく、これだけ現実的な問題を前にして「事実を確認すること」と「信じること」とを切り離してしまうのは、それこそ狂信・盲信じゃないだろうか(もちろん、これは宗教団体特有のものではないが)。
 一方、組織としての責任があるとしオトシマエのつけ方に言及した佐賀千恵美弁護士と村上密牧師のコメント(毎日新聞4月27日付記事)は、当然だと思う。

2005年4月24日 (日)

聖神中央教会に行ってみた

shoumenテレビとかで散々目にした、元ファミレスの施設。

 

honbu こっちは、元は家具の展示販売場だったっぽい。塗りつぶした看板がかすかに読めた。

 

kouji

教会の裏側は、工事中。まだ拡張する予定らしい。

 

kanseizu 完成予想図らしい。

 

chaberuショベルカーも「聖神中央教会」のネーム入りだった。

 

naibu イケイケだね。この日の礼拝は、40人弱くらい集まってた。けっこう夜遅かったんだけど。

聖神中央教会@クリスチャントゥデイ

<聖神教会> 元幹部、婦女暴行事件の経緯語る
クリスチャントゥデイ 2005-04-22 08:00

「同幹部によれば、一般紙が報道している事柄に誤りがある。「壺を売った」「金容疑者が自分を神であると発言した」「犯行の模様をビデオに撮影していた」ということは事実ではない」なんて話も出てくる。

2005年4月14日 (木)

こんな意見もあった

 ぼくの知識では、書かれている内容がどれだけ正しいのかわからないけれど、こんな意見もあった。
 聖神中央教会はこれまで明確に「異端」と扱われてきたわけでもなかったという話が出ている。そして、マスメディアなんかでも聖神中央教会をキリスト教と区別して捉える風潮があると。たぶんそれって、浅見氏の妙ちくりんなコメント以前からある傾向なのかも。

 先日、ある編集者と「金牧師は逮捕されたのに、九州の神主は裁判に勝った。何が違うんだ。宗教行為だと言い張るにも限界があるってことか。触るだけじゃなく、最後までヤッちゃったら宗教行為じゃないってことか」みたいな議論をした。編集者曰く、
「九州の神主は伝統的な神主で、聖神中央教会は新興宗教だからじゃないか?」

 でも、少なくともぼくよりはキリスト教に詳しそうに見える人の間に、聖神中央教会を単純に「異端」「新興宗教」では片付けない意見もある。かといって、たとえば「そもそもキリスト教そのものがカルトなんじゃねえか?」みたいな乱暴な話にもなっていない。細かくマジメに「よくあるキリスト教」との共通点や相違点を見ようとすれば、聖神中央教会とキリスト教を無理に別物扱いしなくてもキリスト教全体を否定しなくても、問題を捉えていくことができそうな気がした。
 こんな意見もあって、こちらは聖神中央教会を「異端のカルト」とする内容だが、それを見抜けず「キリスト教の一派」と扱ってきたキリスト教界に疑問を投げかけるあたりが面白い。

 浅見氏のコメント以前に、マスコミには聖神中央教会を一般的なキリスト教と切り離したがる傾向があり、カルト問題の研究を標榜する団体の代表者よりも展望がありそうな意見がネットに出回っている。
 って、「カルト研究団体の権威」が世間から取り残されているような・・・。初めから、彼のコメントを云々することにあまり意味はなかったのかもしれない。反省。

2005年4月12日 (火)

聖神中央教会の信者数

 聖神中央教会の信者数に関する記事があった。
 まだ200~300人はいると書いてある。 

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2005-04-11 12:04
「聖神中央教会」信者離れ進む
(クリスチャントゥデイ)

 信者の少女に乱暴したとして、代表で主管牧師の金保(通称・永田保)容疑者(61)が逮捕された京都府八幡市の「聖神中央教会」で、信徒の教会離れが進んでいる。
 9日には、横浜と川崎の支部教会(信者計約50人)が中央教会に脱会届を送付、同教会を脱会した。金容疑者逮捕後の支部の脱会は初めてという。また、東京都内の教会支部も脱会の方針を決めており、関係者は今後も脱会はさらに増えるのではないかと話している。
 また、金容疑者が逮捕されて以後初の日曜礼拝があった聖神中央教会では、礼拝出席者が約50人と、逮捕前にくらべ半減したという。
 被害者の会の代表によると、日曜礼拝には昨年1月で約500人の信者が参加。しかし大量脱会があった昨年末以降今年2月には参加者が100人程度に減少。永田容疑者の逮捕を受けて信者数は現在、200-300人に減っているとみられるという。

安原 力  chikaray@christiantoday.co.jp
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2005年4月11日 (月)

理解に苦しむ浅見定雄コメント

 「聖神中央教会」の金保牧師の暴行事件にからんで、JSCPR(日本脱カルト協会)代表理事の浅見定雄氏が、テレビで「韓国やアメリカの教会では、よくあること」とコメントしていた。浅見氏は有田芳生氏宛のメールで、さらに詳しい見解を書いている。以下、有田氏が紹介している浅見メールの全文を引用。

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(1)いちばん気になるのは、私が見た限り文字通りすべてのテレビ局が、金が牧師をしていた「聖神中央教会」のことを「教団」(私の属する日本キリスト教教団のような意味で)と見なし、「教団ぐるみ」などと言ってことです。これは危険です。「中央教会」は確かにあの教団(正式名「聖神世界宣教会総会)の本部的存在であり、その牧師「永田保」が「総会長」ではあるものの、「中央教会」はあくまで「総会」加盟の21教会の一つに過ぎません。「教団ぐるみ」などと言うとき、発言者やテレビ局や新聞社は、他の20の教会やそこの牧師も同じように「ぐるみ」であんなことをしている、と確かめたのでしょうか。どこかのテレビで、この「総会」加盟の真面目そうな韓国人(在日?)の牧師が、金のあんな行為は全然想像もしておらず、金を尊敬すべき立派な牧師だと思っていた、という趣旨の発言をしていました。オウムや統一協会のように教祖以下「教団」あるいは組織ぐるみで人権侵害や違法行為をしている「カルト団体」と、個別の教会や牧師の逸脱行為とは区別しなければいけません。

(2)次に、あの教会の少々熱狂的な礼拝のようなものは、お隣の韓国へ行けばザラに見られます。米国の「ペンテコステ」派や「リバイバル」派の教会でもたくさん見られます(子どもたちの大量失神まで行くのは希でしょうが)。あるいは、早朝の礼拝や徹夜の祈祷会のようなことも、全然、珍しいことではありません。私たち日本キリスト教団の中でも、旧教派の系列によっては、そういうことを真面目にする教会があります。また人知れず黙々とそういうことをしている敬虔な個人も大勢います。カトリックの修道院や仏教の永平寺のような所でも朝は早いですし、仏教の荒行では徹夜の護摩炊きもします。

(3)「悪魔」という言葉は聖書にも出てきますし、「地獄」に近い言葉もあります。永遠の罰とか死の意味に受け取れるような言葉もあります。中世の教会の教えや近世の魔女狩りのようなものまで考えると、キリスト教一般だってけっこうヤバイのです。どちらかというと、保守的あるいはファンダメンタルな教会の方が危険の可能性は高いかもしれません。だから私やその仲間は、そういう事柄を学問的・自己批判的に吟味して、そんなものが聖書あるいはイエスの根本精神だったかどうか、とらえ直すという作業をしている次第です。

(4)というわけで、今回の事件は、今のところはまだ永田こと金および彼とただならぬ中らしい熊谷由美江(以前は「執事」つまり役員一人でしたが、今は副牧師?)らの、卑劣かつ残酷な逸脱行為だったのだろうと私は考えます。だから、真実が明らかになるにつれ、中央教会の信者も大勢やめて行き、またこの教団(総会)の他の牧師や信徒にも動揺が起こっているのです。

(5)まだまだ書きたいことと言えば、私は事件を知ってからすぐ、金はまず、彼を尊敬し彼にあこがれていた成人女性の信者を食い物にしていたに違いない、そして次第に、嗜好が低年齢の女の子へと移って行ったのだろうとマスコミ関係者には言っておきました。
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 一読して、なんとも不可解な内容だと感じた。

 マスコミが「教団ぐるみの犯罪」と捉えることに疑問を呈する気持ちは、わからないでもない。確かに、そこまで断定できる材料は出ていないように思う。熱狂ぶりばかりを異常視してしまうと、全ての宗教を否定することになるし、聖神中央教会の問題構造も正確に捉えられなくなりそうだ。
 しかし「犯罪」としてはともかく「問題」としては、事実上、教団単位の問題として考えるべき状況のように思う。
 浅見氏は、『「中央教会」はあくまで「総会」加盟の21教会の一つに過ぎません』としているが、そんなのは形式論に過ぎない。
 聖神中央教会は、強力なカリスマ性を演出する創設者がトップに立つ教団で、しかもたった22支部・1300人の組織だ(読売新聞による『キリスト教年鑑2005年版』の引用より)。たとえば日本基督教団は、「日本基督教団」のサイトに掲載されている国内の教会数は200弱で、宗教情報リサーチセンターの「宗教教団情報」では信者数10~50万人となっている。
 信者数のサバ読みはこの世界の常識のようだが、あきらかに規模が違う。聖神中央教会は大規模な連合組織ではないし、事件の全体像や教会の問題構造が全てわかったわけでも、それを浅見氏が立証しているわけでもない。「加盟21教会の一つにすぎない」と言い切るのも、オウムや統一教会とは違うと言い切るのも、現状では難がある気がする。

 ほかにもいろいろ言いたいことはあるが、いちばん意味不明だったのは、(4)の記述だ。
 要するに、組織の問題ではなく個人の問題だと言いたらしい。でも、カルトの問題って、組織全体が積極的に自覚的に犯罪を犯したかどうかだけでないはずだ。
 昨年末から先週までに脱会者が続出しているとの報道もある一方で、先週末も中央教会に30人近くの信者が礼拝に訪れたと模倣どうされている。聖神中央教会の公式サイトも復活していて、いまも金牧師の写真なんかを大々的に載せている。
 もし「問題が明かになって脱会者がたくさん出ている」ことを理由に、組織には問題がなかったとするなら、いまも教会に残っている集団についてどう説明するのだろう。そもそも6年ほど前にも牧師の女性問題が内部で取り沙汰されて集団脱会があったとされているのに、残った人がいたわけだ。その上で今回の事件があるなら、なおのこと、「去って行った人」のことを根拠に組織を評価することはできない。

  多くの報道が飛び交う中、ガセネタも混じっているかもしれないが、少女が親に被害を訴えても「それは祝福だ」と言われ相手にしてもらえなかったというケースを紹介している報道もあった。
 あまりに逸脱した状態であっても信者が無批判になってしまうという現象は、浅見氏を含め反カルト運動関係者の多くが主張してきた「マインド・コントロール」ではないのか。宗教団体において「よくあること」を利用した犯罪が起きるなら、それはやはり個人ではなく宗教団体の問題ではないのか。
 なのに浅見氏は、今回の事件をいちはやく「組織ではなく個人の問題」と断じてしまった。なんとも不思議でならない。聖神中央教会を「カルト」と区別しようという意見は意見として構わないんだけど、根拠が薄すぎる。

 ちなみに、聖神中央教会の「被害者の会」代表の村上密牧師が聖神中央教会を「カルト」呼ばわりしたとかで、教会幹部が抗議をしていたらしい。

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「カルト」発言に抗議/被害者の会代表に教会幹部
2005/04/11 四国新聞社

 信者の少女に乱暴したとして京都府八幡市の宗教法人聖神中央教会代表の金保容疑者(61)が逮捕された事件で、同教会の幹部が2月、被害少女のケアに当たっていた「被害者の会」の村上密代表を訪ね「(村上代表が)聖神をカルト、異教と言っているようだが、その証拠があるのか」などと抗議していたことが11日、分かった。

 村上代表によると、女性幹部ら4人が2月16日、村上代表が牧師を務める京都市下京区の教会を訪問。

 村上代表が「(聖神中央教会が)韓国のキリスト教では異端とされている教派の流れをくんでいる」と指摘すると、幹部らは「そんなことはない。心外だ」と否定。村上代表が信者らに「カルト」などと話したことを取り上げ、強く抗議したという。
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