Google AdSense


最近のトラックバック

009:平和神軍

2009年2月 3日 (火)

「一般論で有罪」の危険性

livedoor blog 「一般論で有罪」の危険性 に掲載したものと同じ文章です。

 1月31日に、グロービート裁判の控訴審判決が出ました。右翼カルト「日本平和神軍」とかかわりがある、ラーメンチェーン「花月」運営母体のグロービートジャパン社について、橋爪氏が個人サイトで批判していたことが名誉毀損罪に問われた事件です。一審で無罪とされた橋爪氏に対して、東京高裁の判断は逆転有罪でした。

livedoorニュース/ネットの市民言論が危ない! グロービート裁判の行方(1)

平和神軍観察会

弁護士紀藤正樹のLINC TOP NEWS-BLOG版/これは速報です-即刻上告です。

弁護士山口貴士大いに語る/【控訴審判決】グロービート・ジャパン(らあめん花月)/平和神軍観察会事件判決速報【不当判決】

 時事通信は、この件をこう報じています。

中傷書き込み、逆転有罪=ネットで名誉棄損-東京高裁
1月30日16時25分配信 時事通信

 インターネット上でラーメン店チェーン運営会社を中傷する書き込みをしたとして、名誉棄損罪に問われた会社員橋爪研吾被告(37)の控訴審判決が30日、東京高裁であり、長岡哲次裁判長は一審無罪判決を破棄、求刑通り罰金30万円を言い渡した。弁護側は上告する方針。
 長岡裁判長は「書き込みは真実ではなく、真実と誤信したことに相当な理由はない」と判断した。
 一審はネット上の個人表現について、一般に信頼性が低く、反論が容易として、可能な調査をしていれば同罪は成立しないとの新基準を示していた。控訴審判決は「さらなる社会的評価の低下を恐れて反論を控えるケースがある。内容も、必ずしも信頼性が低いとはいえない」と述べた。

 無罪となった一審判決の中で最も重要なポイントは、橋爪氏について「インターネットの個人利用者として要求される水準の事実確認を行っていた」とした部分です。いち個人に対して、マスコミと同等の責任ではなく、飽くまでも一個人でも可能な範囲の確認をするかどうかで責任を判断するというものでした。

 そのほかに、新基準を提示した理由として、インターネット上では批判された側も容易に反論できることや、ネット上の個人の表現が「一般に信頼性が低い」という点を挙げていました。最後の「信頼性が低い」という部分は、たまに冗談のように語られる「東スポの記事は誰も信じないから、東スポがウソを書いても名誉毀損にならない」みたいなパターンの話として受け止めている人もいるようです。確かに裁判所がそういう意図でこの一文を書いたのであれば問題がありますが、実際問題として、せいぜい「ネットの個人表現は、新聞・テレビほどの権威ではない」くらいのものとして受け止めておくのが妥当だと思います(とりあえず、表現をする側の立場として)。

 東京高裁の判決後の記者会見で、被告の橋爪氏の弁護人である紀藤正樹弁護士は、今回の判決が地裁判決を否定した根拠として「(ネット上で批判された側が)反論を控えるケースがある」などを挙げていたことについて、こう批判していました。

「それは一般論としては正しいが、今回のケースでは平和神軍側は大々的に反論していたし、橋爪氏に対して脅迫めいたこともしていた。そういう個別の事情を無視している」

 紀藤弁護士は、この判決を「一般的予防効果を狙ったものとしか思えない」としています。つまり、世間に対する見せしめです。

 今回の件で特に感じたのは、「一般論の危険性」です。たとえば、一般論で言うなら「誹謗中傷はいけない」わけですが、刑事裁判というのは特定の事件について有罪か無罪かを決めるものですから、この事件が「そもそも誹謗中傷なのかどうか」から検証されるべきものです。

 一審判決は、「新基準」を打ち立てるに当たって、やはり一般論を語っています。「インターネットの個人利用者として要求される水準の事実確認を行えばよい」という基準も一般論ですし、その事実確認の水準までは具体的に示していないので、抽象論とさえ言えます。ネット上では批判された側が用意に反論できるということや、「信頼性が低い」という話も一般論です。しかし一審は、22回の公判で橋爪氏のこの具体的な事情を検証して無罪としました。一般論ありきの無罪ではなく、無罪であるべき事情があると裁判所が判断し、これまでの裁判でこれを無罪にする一般論がないから新基準を打ち立てた、と捉えるべきでしょう。

 もともとこの裁判には、橋爪氏に対して脅迫めいたことをして言論妨害をしていた平和神軍側が罪に問われず、橋爪氏の方が起訴されているという、独特な事情があります。「被害者と加害者が逆転している」中で、裁判上の「加害者」であり現実の「被害者」である被告人をどう捉えるかという、名誉毀損訴訟とは違った視点での検討も必要な事件です。

 しかしたった1回の公判しか行わなかった控訴審は、一般論によって一審判決の新基準を否定し、名誉毀損に関する従来どおりの基準で橋爪氏を有罪としました。

 裁判が具体的事情の検証であるという原則から外れさえしなければ、実は一審判決の一般論はさほど恐ろしいものではありません。たとえば「ネットでは反論が容易」という新基準が確立されたとしても、ある裁判において、被害者が「自分が批判されていたなんて知らなかった」と主張すれば、その事情は当然、判断材料になるでしょう。であれば、「ネットは反論可能なメディアなのに、反論しなかった被害者が悪い」と切り捨てる、なんてことにはならないはずです。

 しかし二審が別の一般論によって一審の一般論を否定するというのは、裁判所が「一般論によって切って捨てる」危険な体質を持っていることを、東京高裁が実践的に見せてくれたということことでもあるのかもしれません。ややこしいパラドックスですが。

 個別の事情を無視して一般論を振りかざすのが裁判なのであれば、極論すれば、どんな事情があっても罪を犯したら量刑は一律。そうすると、裁判は単に「やったかやってないか」だけを判断する場になります。たとえるなら、情状酌量とかそういう概念も必要なく、死刑の執行どころか死刑の判決さえも「ベルトコンベアー」でいいって話になります。

 裁判のこうした問題点は、ネット上の表現の自由云々に限った問題ではありません。個別の事情を無視して一般論で切って捨てるというのは、「裁判」という制度自体を否定するに等しい発想です。

 という一般論的な解釈が正しいかどうかもまた、この裁判の個別の事情を見てもらわないと判断できないでしょう。橋爪氏はすでに上告を表明しています。橋爪氏を応援するしないに関わらず、少なくともフェアな裁判を望む人には、大いに関心を持ってもらいたい事件です。

2008年3月 1日 (土)

平和神軍観察会事件・被告人無罪!!


無罪を勝ち取った橋爪研吾・元被告

 全国展開するラーメンチェーン「花月」の運営母体であるグロービートジャパン社への名誉毀損罪に問われていた会社員・橋爪研吾被告に対して、2月29日、東京地裁が無罪判決を言い渡しました。

 橋爪氏は1999年頃から「次瀬徹」のペンネームで、右翼カルト集団「日本平和神軍」に関する情報を自身のwebサイト「平和神軍観察会・逝き逝きて平和神軍」に掲載。平和神軍や代表者である中杉弘(本名:黒須英治)氏の差別思想、ニセ学位商法(イオンド大学)や宗教法人売買などを批判していました。同時に、黒須英治氏が会長を務めるグロービートジャパン社と平和神軍との関係も指摘していたため、2003年2月にグロビートジャパンが、橋爪氏に対して名誉毀損と営業妨害を理由に3,150万円の損害賠償を請求する民事訴訟を提起。計77万円の支払いを橋爪氏に命じた2005年の東京高裁が確定(最高裁が上告を棄却)しています。

 一方、グロービートジャパンは2002年に刑事告訴も行っており、民事裁判が決着した後も、橋爪氏を名誉毀損罪に問う刑事裁判が東京地裁で継続していました。今回、橋爪氏に「無罪」の判決が下ったのは、この裁判です。

 無罪判決後の記者会見で、橋爪氏の弁護人である紀藤正樹弁護士らは、今回の判決を「画期的な判決」と評価し、時事通信は「中傷書き込みに無罪=ネット名誉棄損で新基準」との見出しで報じています。
 どの辺が「新基準」なのかというと、「インターネットの個人利用者として要求される水準の事実確認は行っていた」と認めた点です。

 実は今回の判決は、橋爪氏が主張していた「グロービートジャパンと平和神軍の一体性」は認められていません。無関係であるとまではされませんでしたが、両者の構成員が一致しているわけでもなく(幹部レベルでは必ずしもそうではないですが)、思想的な影響関係も認められないとされました。サイトの記述の真実性にかんする裁判所の判断について、橋爪氏側も「不本意」と語っていたほどです。サイトの中には挑発的・揶揄的と思える表現もあり、裁判所もそれを「揶揄的」と表現していました。


記者会見は報道陣で満席

 それでも「無罪」となったのは、まず、サイトの公益性と、サイトの趣旨が公益目的であることが認められたからです。全国にフランチャイズ店を展開するグロービートジャパンという会社に関する情報は公共の利益にかかわるものであり、「揶揄的な表現はあったが、全体として公益をはかる目的だったと言える」というのが、裁判所の認定です。
 名誉毀損が違法ではないとされるためには、公益性・公益目的のほかにもうひとつ、「真実性・真実相当性」という要件があります。前述のとおり、裁判所はサイトの記述に誤りが含まれていたと判断していますが、「真実と信じるに足る根拠(真実相当性)」があった場合は、やはり違法ではないと言える根拠になります。
 通常のマスコミ報道であれば、誤報道の原因が取材不足だったりすると「真実と信じるに足る根拠があった」と言いにくかったりもします。しかし今回の判決は、(おそらく初めて)「インターネットの個人利用者として要求される水準」というものを持ち出して、この点をクリアしました。

 「真実ではないと知って、あるいは確かめもせず発信したと言う場合でなければ、刑罰に処すのは適当ではない」と。そして、そういう判断をしなければ、「ネット利用者の表現活動が萎縮し、情報や思想の自由な流通がはかれない」というのが、今回の判決の考え方です。
 もともと橋爪氏のサイトは、パソコン通信「NIFTY-Serve」やインターネットでの平和親軍関係者の言動や、関係団体の登記謄本などを調べながら記述されており、それなりの根拠をもってグロービートジャパンと平和神軍の関係について語っていました。裁判所からは部分的に「真実性」が否定されましたが、橋爪氏のサイト運営の姿勢自体は、裁判所に評価されたようです。


会見で紀藤正樹弁護士は、黒須英治氏が
経営するイオンド大学の「学位販売」問題
にも言及した。

 無罪の根拠は「新基準」だけではなく、たとえば揶揄的な表現も、橋爪氏がメール等々を通じてグロービートジャパンや平和神軍の関係者から脅迫めいた暴言を浴びせられながらサイト運営をしていた中でのことであるがゆえに、「対抗言論」と認められたことが挙げられます。大雑把に言えば、「互いに言い合っている中で生まれた過激な表現は、多少におおめに見るべき」というような判断です。
 また、グロービートジャパンも平和神軍も独自にwebサイトを開設しており、関係者がネットを通じて橋爪氏に対抗するなど、いずれも「ネットを利用できる環境」であったことから、グロービートジャパン側に「反論の機会があった(実際に反論したかどうかと関係なく、反論できる状態にあった)」とされ、その点も裁判所の総合的な判断の根拠のひとつになっていました。

 これらをまとめると、web上で情報発信をする個人が今回の判決から得られる教訓は、こういうことかなと思います。

(1) 揶揄表現をするにしても、「公益目的」という大枠から外れない程度にする。
(2) 自分にとって可能な限りの事実確認作業をした上で書く。
(3) 一方的な挑発・揶揄表現は避ける。
(4) 妨害・報復に屈しない。

 (4)も実は、判決に影響を与えていたような印象です。読み上げられた判決を聞いた限りでは、橋爪氏がグロービートジャパン関係者から脅迫めいた言動などを浴びせられていたにも関わらず、なおもサイト運営を続けてきたことが、公共の利益に対する奉仕と裁判所に受け取られていたように思えました。


会見場には、橋爪氏の支援者であるブロガーの姿(写真・右)も。
「その時、自分ならばどうする」というみつをの書は、彼の心には
どう響いていたのだろう。ていうか、なんで裁判員制度のポスター
が相田みつをなのか。

 もちろん、裁判官が違えば結論も変わる可能性はありますが、今後、似たケースにみまわれた人にとって今回の判決は大きな助けになる判例だろうと思います。
 ぼくは最近、オーマイニュースというネットニュースで記事を書いています。一般市民が記者登録をして「市民記者」として記事を書くメディアです。もともと「市民ジャーナリズム」という言葉を生んだのは、こうした市民メディアよりも前からwebサイト・ブログなどで情報発信をしてきた個人の功績でしょう。今回の判決も、ひとりの個人が残した偉大な足跡として、市民メディア周辺の人々が自らの活動にまつわるリスクと覚悟を再確認する機会になればいいなと思います。

 ただ、気をつけたいのは、今回の判決を「素人の情報発信であれば誹謗中傷をしても許される」と解釈してはまずいだろうという点です。
 たとえ「インターネットの個人利用者として要求される水準」が一般的なマスコミ報道に求められる水準より低いものだとしても、ネットで情報を発信する個人がその時点での最善を目指さなければ、「無罪」にはなりにくいでしょうし、支援者も集まりにくいでしょう。
 ネットの個人利用者がマスコミより高い水準を求める必要はありませんが、最善を目指す姿勢は、個人であれ大手マスコミであれ、それぞれに相応のものが求められると思います。個人サイトとマスコミを別物として判断した判決ではありますが、最善を目指す姿勢は個人サイトにも求められるとする判決だったとも解釈できそうな気がします。


平和神軍も、右翼なら「日の丸」の決
定に敬意を払ったらどうか(橋爪氏
のコメントではなく藤倉の心の声)

 そういえば、ひとつ残念なことがあります。
 橋爪氏の無罪は、複数の大手マスコミが報じており、NHKでも放送されました。ところが、大半のメディアでは、ラーメンチェーン「花月」や「グロービートジャパン」「平和神軍」という会社名・団体名が伏せられており、グロービートジャパンが平和神軍と関係をもっているという事実には触れられていません。すでに書いたように、両者の「一体性」は判決では認められませんでしたが、関係があること自体はむしろ認められています。
 大手マスコミには、「現時点での最善」を目指す気はないんでしょうか。橋爪氏の支援者という立場で司法記者クラブでの記者会見を見学しておきながら大手メディアの悪口を書くのも忍びないですが、なんか情けないです。

※傍聴で分かりにくい文章の判決文を耳で聞いてただけなのと、別に法律の知識とか豊富じゃないので、間違ってる部分もあるかもです。間違ってたらあとで訂正するので教えてください。

【参考記事】
◆弁護士紀藤正樹のLINC TOP NEWS-BLOG版
速報!無罪判決が出ました。
◆弁護士山口貴士大いに語る
【祝】【無罪判決】グロービート・ジャパン(らあめん花月)/平和神軍観察会事件判決速報
◆酔うぞの遠めがね
平和神軍事件・無罪判決

2007年3月 4日 (日)

.net実話 アングラーEX vol.5

 奇しくもホームオブハート被害者の勝訴判決が出る直前に発売された雑誌で、ホームオブハートのことを書きました。1月に東京・中野ゼロで開かれたTOSHIのコンサートのレポートと、ホームオブハート問題のまとめです。

Vol_05 ◇2007年2月発売/晋遊舎/.net実話 アングラーEX vol.5/スピリチュアの現場 自己啓発セミナー団体 ホームオブハート(レムリアアイランドレコード)

 

 

 この記事に出てくるTOSHIのコンサートは、「日本BE研究所」所長で、企業研修型の自己啓発セミナーを主催する「日本創造教育研究所」の特別顧問でもある行徳哲男氏の講演がセットになっていました。この講演がまた迫力のある右翼調の演説で、おかしなことは言っていないんですが、TOSHIの「自称・癒しのコンサート」とのギャップが凄まじかった。事情を知らないお客さんは、うろたえていたんじゃないかなあ。

 誌面には載っていないですが、行徳哲男氏の講演風景の写真を貼り付けておきます。
 ちなみに客席には、ホームオブハート問題をめぐる裁判でトシオフィスの代理人を務める市河真吾弁護士の姿もありました。

01

行徳哲男氏の講演は迫力満点でした。

 

 

 

Toshi02_2 行徳氏はコンサートの最後にTOSHIに書をプレゼントしていました。

 

 
 この号の「アングラー」でぼくは、「これが言論の自由を侵すGoogle八分だ」という記事も書いています。そこで紹介しているグーグル八分の事例のひとつとして、ラーメン「花月」チェーンの運営母体・グロービートジャパン(批判者を脅迫するなどしたカルト的集団・日本平和神軍の関連会社です)のケースも紹介しています。
 あと、ぼくが書いた記事ではないですが、今回の「アングラー」は、ほかにも創価学会・幸福の科学・オウム真理教・ワールドメイトなどを扱った「特集 宗教洗脳漫画アニメ大全」とか、細木○子・Dr.○パ・美輪○宏・森○健・江原○之を扱った「デタラメだらけの占いビジネス」とか、宗教ネタが盛りだくさんです。
 さらに別の企画もの記事では、ライターの村田らむ氏が新宿中央公園で滝に打たれる荒行とかに挑戦しています。これは宗教記事…とは違うか。

2006年7月15日 (土)

英治さん、「迷惑です」(平和神軍ネタ)

 昨日、東京地裁で、ウェブサイト「平和神軍観察会」の運営者が、ラーメン花月チェーンの運営母体「グロービートジャパン株式会社」から刑事告訴されていた事件の公判を傍聴してきました。
 今回は、グロービート社の代表取締役副社長である靏見嘉弘 (鶴見嘉弘)氏に対する証人尋問です。

 この事件は、ウェブサイト「平和神軍観察会」の運営者がサイト上で平和神軍という電波系カルト集団とグロービート社との深い関係について書かれていたため、グルービート社が同サイトの運営者を刑事告訴したというものです。その記事を名誉毀損だと主張するグルービート社は、グロービート社と平和神軍が無関係であると主張しています。
 しかしおそれおおくも平和神軍の総督であらせられる黒須英治氏(中杉弘氏)は、グロービート社の会長を名乗っており、少し前まで株式の51%を保有していました。「平和神軍観察会」運営者とのやりとりだけではなく、グロービート社について報じたメディアへのクレームにおいても、黒須英治氏自身が直々に編集者に電話をかけ罵詈雑言を浴びせかけています(Seminar will never die...? 参照)。
 そんなこんなで、グロービート社と平和神軍が無関係であるとは考えにくいのですが、今回の鶴見氏への尋問でも、そのあたりのやりとりがとても面白かった。

検察「グロービート社には会長職というのはあるんですか?」
鶴見氏「ありません」
検察「黒須英治氏は会長ではないんですね」
鶴見氏「はい、そうです」
検察「黒須英治氏が対外的に会長を名乗ることについてどう思いますか」
鶴見氏「迷惑です

 黒須英治氏は、イオンド大学という学位発行会社も経営しています。

検察「イオンド大学は知っていますか」
鶴見氏「名前は知っているが詳しく知らない」
検察「イオンド大学の教授としてあなたの名前が記載されたものがありますが?」
鶴見氏「HPを見てはじめて知った。勝手に名前を使われただけ」

 ここでも確か、勝手に名前を使われたことについて「迷惑です」とか言ってたと思います。
 気の毒なことに、鶴見氏は「黒須英治氏のせいで」逮捕されちゃったこともあるそうです。

検察「英治氏とともに逮捕されたことがありますね」
鶴見氏「あります」
検察「それはどういう事件でしたか」
鶴見氏「10年ほど前、板橋の店舗前で工事が始まり、フランチャイズのオーナーから『本社の調査不足だ』とクレームがつき、補償を求められ、公団と交渉した。公団からの工事のアナウンスに誤りがあったので、その賠償を求めたが、その場のやりとりに行きすぎがあった。当時の担当が英治氏の息子の黒須直治だったので、彼が英治氏に相談したんだと思う。英治氏が公団に出向いた。私は、その場には行っておらず、公団に来てもらった」

 無関係なはずの黒須英治氏のせいでグロービート社の副社長まで逮捕されるとは、さぞかし迷惑だったことでしょう。
 そんなこんなで、今回の尋問は、鶴見氏の「迷惑です」の連発が、かなり笑えました。

 迷惑ならなんとかしろよ!

 ちなみに、グロービート社が会長でもない黒須英治氏に毎年3000万円程度の報酬を支払っていたのは、「会社設立時に配当のつもりで支払っていたものが、その後もズルズル続いていた」(鶴見氏)のが理由だそうです。
 形式上は会長職は存在しないとか「迷惑だ」とか言ったところで、グロービート社が黒須英治氏に逆らうことができず、彼がグロービート社の人間として(あるいはグロービート社の人間を巻き込んで)振舞うのを、指をくわえてみているしかなかったと。それを鶴見氏がどう思っていようが、結局、グロービート社と黒須氏が深い関係にあったことに違いはないんだなという印象です。

 この日、引き続き弁護側からの尋問も行われる予定でした。ところが、検察官が勘違いして、鶴見氏に「今日は検察からの尋問だけ」と伝えてしまっていたようで、鶴見氏は「この後予定が入っている」と言って帰っちゃいました。おかげで、弁護側からの尋問は次回持ち越し。
 次回は、8月25日(金)13:15から東京地裁426号法廷です。

2006年4月10日 (月)

花月荘に泊まってみた

 ちょっと前に、「学位」を販売することで有名な イオンド大学 の施設である 城ヶ島クラブに泊まってみた わけですが、こんどは、イオンド大学の経営者でなおかつ 平和神軍 総督の黒須英治氏が会長を務めるラーメンチェーン花月(グロービートジャパン株式会社)の研修施設、キャンピングペンション花月荘 に泊まってみました。楽天トラベル にも登録されている宿です。
 ややこしいんで背景の説明は省きます。下記サイトなどを参考にしてください。

平和神軍観察会・逝き逝きて平和神軍

 花月荘の宿泊レポートを読む上でとりあえず押さえておいてほしいのは1点だけです。
 上記サイトの運営者・次瀬徹氏は、サイトの記述が名誉毀損にあたるとしてグロービート社から民事・刑事で訴えられています。その裁判の中でグロービート社は、黒須英治氏やイオンド大学、平和神軍などとの関係を否定してきました。
 それが果たして本当なのかというのが、このレポートのお題です。
 もともとこれまでの裁判で、関係があるという証拠はいろいろ挙がっていて、次瀬氏に77万円の支払いを命じる内容で確定した民事の高裁判決も、「一定の関係があると評価することは誤りではない」と認定しています(刑事裁判は現在、東京地裁で進行中です)。
 関係があることは周知の事実。なので、「で、いま現在はどんな感じ?」という辺りを、花月荘に宿泊して確認してきました。

Jougashima_2

Kagetsu

 花月荘はグロービート所有の施設ですが、一般客も泊まることができます。宿泊予約を受け付ける「花月荘Web係」の電話番号は、イオンド大学関連施設である城ヶ島クラブの「東京予約センター」と同じ番号です。
 花月荘に予約の電話を入れると「素泊まり2800円で朝食が付きます」と言われました。城ヶ島クラブに予約したときも「素泊まり5000円朝食付き」。ぼくの住む国では、朝食が付くらなら「素泊まり」とは言わないんですが、あえてツッコミは入れずに予約完了。城ヶ島クラブでは宿泊する際に会員登録(無料)が必要でしたが、花月荘は不要でした。 

Gaikan

 花月荘は、伊東市の南側、八幡野という別荘地のようなところにあります。HPに載っていた地図を見ても、たどり着けません。地元の人に地図を見せてもわかりません。なんとなく走りつづけ、最後の最後で地元の人のアドバイスでたどり着くことができました。Shingun
 上が花月荘の玄関の写真です。なんか別の団体の写真で見覚えがある門でした。その写真も下に並べておきます。「平和神軍 士官学校」と書いてありますね。

 

KeijibanShimaikan   階段を上り玄関に入ると、フロントの脇に掲示板がありました。そこには城ヶ島クラブのパンフが貼ってあります。別の貼り紙には、城ヶ島クラブは花月荘の「姉妹館」だと書いてあります。

Nichiren  フロントで案内された通りに館内の階段を2階へ。ところが間違えて、違う部屋に迷い込んでしまいました。金庫やオーディオ、でかいテレビなんかもあって、あからさまにほかの部屋より豪勢です。棚には『日蓮大聖人御書全集』などの書籍が置いてあります。創価学会の本のようです。グロービート社の裁判で聞いた会長・黒須英治氏の説法テープで、同氏が日蓮を褒めちぎり、最後に「南無妙法蓮華経」と唱えていたのを思い出しました。

Heya  ようやく自分の部屋に到着。ぼくは1人で泊まったんですが、割り当てられたのは5人用の部屋。テレビもちっちゃいし日蓮さんの本も置いてないですが、部屋はやっぱでかいです。2人分の布団を敷いたらキツキツだった城ヶ島クラブの部屋とはえらい違いです。

FuroDatsui 風呂が沸いているというので、さっそく入りました。脱衣所には脱いだ服を置く棚すらなく、旅館のそれとは思えない粗末さでしたが、浴室は暖かくて湯船もゆったり。風呂場なのに寒くて死にそうだった城ヶ島クラブとは雲泥の差です。
 湯船の蛇口からも熱々のお湯が出てきます。お湯に浸かっても寒かった城ヶ島クラブに比べると、まるで極楽浄土です。

Sheets  部屋に戻って、とりあえず布団を敷きました。ちゃんと未使用のシーツが用意されています。最初っから使用済みシーツが布団に張りぱなしだった城ヶ島クラブの布団から考えれば、もはやVIP待遇です。
 しかし、この宿のあまりの素晴らしさに興奮して寝付けません。1階に降りて、管理人とちょっとお喋りしてみました。管理人の話をざっとまとめると、こんな感じです。

 花月荘には「姉妹館」として、イオンド大学の施設である城ヶ島クラブの案内が掲載されているわけですが、イオンド大学が「うちの会社(花月)がやっている事業だから」だそうです。花月荘も、ごくたまにイオンド大学の合宿に使われることもあるとか。
 グロービートとイオンド大学は別会社です。「うち」というのが本当に花月のことなのか、管理人氏の言い間違いなのではないのか不安に思い、「ラーメン屋さんが大学を経営してるって面白いですね」と聞いてみました。すると、「ええ、そうなんですよ」との答え。言い間違いだったわけではなく、花月荘の管理人は両社を区別していないということだったようです。花月の会長で、イオンド大学を経営している人物は、言うまでもなくこれは黒須英治氏のことです。
 会長はいろんなことに興味がある人らしく、たった1日間だけで受講料金が20万円もする催眠術学校も3年ほど前まで開いていたんだそうです(再受講は無料・無制限)。

Shokudo  翌朝の朝食は、ご飯、納豆、味付き海苔、インスタントの味噌汁でした。1階の食堂で食べました。たいしたメニューではないですが、これが付いて1泊2800円という料金はやはり嬉しいです。ご飯はおかわり自由です。
 1泊5000円だった城ヶ島クラブの朝食は、花月荘と同じメニューにアジの開きと卵焼きが付いていました。花月荘との差額は2200円ですから、ぼくは城ヶ島クラブで合計2200円もする超高級なアジの開きと卵焼きを食べたことになります。そうと知っていれば、もっと味わって食べたのに。
Wash  花月荘では朝食の後片付けと食器洗いはセルフ。厨房に入って自分で洗います。もしかしたら城ヶ島クラブは、2200円で皿洗いをしてくれていたのだと考えることもできなくはありません。

 

【結論】

 帰宅後に確認して驚いたのですが、花月荘の管理人として雇われていると語っていた従業員は、2002年頃の平和神軍のサイトの「幹部日常の素顔」というコーナーに顔写真まで掲載されていた人でした。花月荘にはパンフレットの類がありません。管理人が会長に頼んでも作ってくれず、にもかかわらず城ヶ島クラブのパンフが作られ花月荘に置かれています。花月のラーメンを宣伝するものも花月荘には一切ありません。会長が、そういう宣伝をベタベタ貼り出すのを好まないからだそうです。
 グロービート社が、花月荘においていまもなお平和神軍総督・イオンド大学・黒須英治氏の全てと関係を持ちつづけていることが、よくわかりました。単に関係があるというレベルではなく、むしろ黒須英治氏の意向を優先的に反映しているようにさえ見えます。

 ただし、花月荘そのものに何か問題があるわけではありません。カルト問題を扱う人間として、こうした背景をもった宿をオススメする気にはなれませんが、宿そのものは決して悪くはないと思います。建物はボロいし宿泊料金も破格の安さですが、きちんと掃除も行き届いていて、管理人氏の人柄もよく、サービスも丁寧でした。客の方が話を振らない限り、イオンド大学や催眠術の話をしてくることもなさそうです。
 宿としての最大の欠点は、HPに掲載されている地図ではたどり着けないことですね。

2006年1月25日 (水)

「ガイアの夜明け」とラーメン花月

 さっき、テレビ東京「ガイアの夜明け」を見ました。
 平和神軍という右翼カルトの“総督”が会長を務めるラーメンチェーン「花月」(グロービートジャパン株式会社)が、番組内で紹介されるという話があったからです。平和神軍とグロービート社との関係や、それについてネットで書いていた人をグロービート社が脅したり訴えたりしている件については、とりあえず以下のページを参照してください。

平和神軍観察会
138万人は知らない、ラーメンの真実

 で、その「ガイアの夜明け」ですが、「膨張!クチコミ巨大市場 ~ネット時代の消費革命~」と題して、Yahoo!がネット投票で開発したラーメン「真骨頂」の話題などを取り上げる内容でした。この「真骨頂」の店頭販売をしたのがラーメンチェーン花月で、先行試食会も花月の店舗で行われています。
 ところが番組では、Yahoo!のこの企画を紹介した部分の冒頭で、「グロービートジャパンが店頭販売を担当」みたいな説明があっただけで、花月に関する話はほぼ皆無といっていい内容でした。先行試食会の様子を報告するYahoo!のコンテンツを画面で見せていたけど、試食会の会場だった「花月」についても言及せず。
 内容のほとんどは、「真骨頂」のカップラーメンを作った東洋水産とYahoo!の担当者たちを追いかけるものでした。
 ていうか、冒頭でグロービートの名前は出たし厨房や店内の映像や写真もちらっと出たけど、「花月」って店名にいたってはいちども出なかったような気が・・・。

 このラーメン企画については、平和神軍問題等々の事情を知る人々の間で「Yahoo!も、よくこんな会社と組んだもんだ」というような声も聞かれます。グロービート社と平和神軍の関係や訴訟沙汰はネットではけっこう有名な話でもあるので、もしテレ東が花月の宣伝に荷担するような放送をしていたら、袋叩きとは行かないでしょうけどまあバカにされるくらいのことにはなったかもしれません。
 今回、花月が番組でほとんど紹介されなかった理由はわかりませんが、「ガイアの夜明け」は、テレビ東京「ガイアの夜明け」で「過剰な演出」という問題も発覚したばかり。花月をほとんど紹介しなかったのは、テレ東的にも正解だったんではないかと。

2006年1月 5日 (木)

城ヶ島クラブに泊まってみた

平和神軍観察会訴訟(刑事)第2回公判 (1)
平和神軍観察会訴訟(刑事)第2回公判 (2)

 この平和神軍と関わりの深い団体で、「学位」を販売することで有名な「イオンド大学」という株式会社があります。三浦半島の先っちょに、そのイオンド大学の博士会館だという「城ヶ島クラブ」があるのですが、先日、たまたま近くに行ったので宿泊してきちゃいました。
 上の訴訟にからんで重要なのは、城ヶ島クラブよりも伊豆高原にあるグロービート社の宿泊施設「花月荘」です。
 城ヶ島クラブは、株式会社イオンド大学の関連施設であり、登記上の所有者は宗教法人妙法寺。グロービート社の会長でもある黒須英治氏がらみの団体施設ではあるものの、グロービート社との直接の関係があるかどうかまではわかりません。

panf さて、その城ヶ島クラブは、「米国イオンド大学の名誉博士の有志により、同大学海洋学部(三浦市金田)開設を記念して建立」されたものだそうです。会員登録が必要ですが、誰でも1泊朝食付き5000円で宿泊することができます。

城ヶ島クラブ公式サイト
楽天トラベル城ヶ島クラブ

 三浦半島の先端、城ヶ島という非常に美しい島の西端、灯台のすぐ脇という立地。青く塗りたくった外観はちょっと下品な感じでしたが、夜になると、海を照らす灯台が部屋からも見えたりして、それなりに趣きはありました。
 パンフレットに載っている写真を見ると、建物の壁に堂々と「イオンド大学 博士会館」と書かれていますが、現在はこの部分が消され、ただ「城ヶ島クラブ」としか書かれていません。公式サイトでも、かつては「イオンド大学」の記載がありましたが、現在はなくなっています。
before← before
↓ afterafter

 

 

 

 そんな部屋には、さらに別の意味で趣きのある案内も置かれていました。カラオケルームで無料で見られるという映画ビデオのリスト。

vlist

1.陸戦の王者~戦車のすべて
2.攻撃ヘリコプター~空の重戦車たち
3.湾岸戦争タンクウォーズ
4.米軍空母のすべて
17.明治天皇と日露戦争
18.戦艦大和
43.永遠なる武道
52.自衛隊徒手格闘

 ってな辺りが、平和神軍っぽくて笑えました。

yousai ちなみに三浦半島は、東岸が明治期からの東京湾防衛の要塞地帯で、西岸は第二次大戦中に米軍の相模湾上陸に備え砲台や狙撃陣地が築かれた地帯。現在もその痕跡が多く残されていて、この城ヶ島東端にも要塞の跡があります。
 そんな場所で、「明治天皇と日露戦争」とか言われると、なんだかグッときてしまいますが、今回は、時間の都合で見られませんでした。
 あと、この宿、外観はしょぼいんですが中はけっこう広々しています。食堂にはカウンターつきのバーもあり。2階に7部屋あって、ぼくが泊まったときには、ほかにカップル1組など2~3組の宿泊客がいて、4部屋は埋まっていました。団体関係者だったらイヤなので、ヘタレなぼくは声もかけられずじまい。

furo

shokudou 宿のグレードとしては、まあ海も近いしきれいな場所にあっていいんですが、朝食はしょぼかったし、風呂もめちゃめちゃ寒かったし、部屋も狭いし、見るからに前回使用時から取り替えていないシーツ張りっぱなしの布団だし。値段的には、3500円くらいでいいのではないかという感じでした。

 城ヶ島クラブ、平和神軍、イオンド大学などの関連情報や資料は、以下のサイトで見ることができます。

往き逝きて平和珍軍城ヶ島クラブ

 また、平和神軍関連の訴訟情報等々は、こちら。

平和神軍観察会・逝き逝きて平和神軍
弁護士紀藤正樹のLINC TOP NEWS-BLOG版
弁護士山口貴士大いに語る
酔うぞの遠めがね
Seminar will never die...?

2005年10月23日 (日)

平和神軍観察会訴訟(刑事)第2回公判 (2)

 平和神軍観察会訴訟(刑事)第2回公判 (1) で書きましたが、次瀬氏は今回の起訴を「“木を見て森を見ない”起訴」とし、次瀬氏側の弁護士は「マスメディアの調査能力を前提とした基準とは別の基準」を求めています。
 「平和神軍観察会」の記述に行き過ぎが全くなかったとするのではなく、ミスの内容が、専門知識のないいち市民による記述として、起訴されるほど悪質なものだと言えるのかどうか。そこが検証してもらいたい、という主張でしょう。

 「ミス」に関して、もうひとつ押さえておくべきポイントがあります。
 東京高裁の判決が出た直後の6月7日、次瀬氏側が記者会見を開き、その席で紀藤正樹弁護士がこういう趣旨のことを言っていました。
「最近増えている恫喝型訴訟では、記事の大半は正しいのに細かい部分のミスだけを根拠に訴訟を起され、記事を書いた側が負けてしまうこともある。これでは、長い記事を書けば書くほど裁判では負けてしまうことになる」
 これは、個人サイトだけではなくマスメディアにとっても他人事ではありません。当たり前ですが、重大な問題ほど記事の分量も増えるわけで、「少しでもミスがあったら負け」では困ってしまいます。
 ミスが記事全体の価値や相当性を揺るがすほどかどうかは、常に重要な争点にされるべきでしょう。ここについても、個人サイトであればマスメディアとは違う基準で評価される必要があります。

 これらの点について、今回の次瀬氏側の主張は理に適っています。ただし一般論としては、「マスメディアとは違う判断基準」についてはまだまだ議論の余地がありそうです。
 批判や訴訟にもマスメディアの改善・向上につながる側面があるのと同じように、ネット上での市民による発言もジャーナリズム的な意義をもつものであれば、「いち市民の便所の落書き」以上の厳しい基準で評価される必要があります。マスメディアと同等の基準で判断されるのは厳しすぎる気もしますが、それも場面次第です。たとえば記者発表資料だけで時事記事を書く官僚的新聞報道より、独自の資料収集と取材でテーマに踏み込んでいく個人サイトの方が読者に対して説得力をもつ(その分、責任も重い)場面さえあり得ます。

 もちろん次瀬氏側は、個人サイトの向上の必要性を否定するつもりでマスメディアと別の判断基準を求めているわけではないと思います。次瀬氏のサイトの内容、グロービート社や平和神軍側のやり口、裁判の進行状況から考えれば妥当な主張という感じでしょう。次瀬氏が根拠となる資料もあわせて掲載して読者が判断できる状況を作っていた点に、誠実さを認めるべきだと思います。
 しかし「平和神軍観察会」以外のサイトや掲示板に目を向ければ、根拠も示さず、あまりに非常識な判断力で特定の人物や団体の評価を貶める文章を書く人がいないわけではありません。今回の訴訟については、そういうものまで「素人だから」と許容してもらおうというものではないこと(あるいは、そういう訴訟だと捉えるべきではないこと)を踏まえておきたいところです。

 次回以降の公判日程は、以下の通りです。

・2005年10月31日(月)
・   11月25日(金)
・   12月20日(火)
・2006年01月27日(金)
・   02月22日(水)
・   03月22日(水)

 いずれも13時30分~16時30分、東京地裁522号法廷。

平和神軍観察会訴訟(刑事)第2回公判 (1)

 去る10月3日、ウェブサイト「平和神軍観察会」の運営者が、ラーメン花月チェーンの運営母体「グロービートジャパン株式会社」から名誉毀損で刑事告訴されていた事件で、第2回公判を傍聴してきました。この事件の概略については、自己啓発セミナー対策ガイド2005/06/05「平和神軍観察会」運営者、高裁判決に上告を表明 にまとめてあります。

 裁判官1人体制だった審議が今回から3人体制に変わったとのことで、新たに加わった裁判官向けに、被告人の次瀬徹氏が改めて意見陳述を行い、被告人側の弁護人による証拠説明も行われました。第1回公判には行けなかったので、こちらにとってもありがたかった。

 被告人の意見陳述の要旨は、こんな感じです。

(1) 日本平和神軍と総督・黒須英治氏は、右翼的で差別的なオカルト主義者であり、反社会的な存在である。
(2) グロービート社と平和神軍との間に関係があることについては、認定に不備はあるものの東京高裁判決(2005.05.25 次瀬氏に77万円の支払命令、次瀬氏は上告)でも認められている。
(3) 「平和神軍観察会」サイトの記述をめぐって、平和神軍関係者から執拗な脅迫や突然の提訴がなされた。彼らこそ犯罪者であり、自分はそれに対して(ネット上で)議論をしたに過ぎない。
(4) 平和神軍関係者による脅迫を放置しておきながら、私だけを起訴したのは不当である。また、(起訴理由は)私のサイトのごく一部の表現を取り上げたものであり、“木を見て森を見ない”起訴には、断固闘う。
(5) 新たに加わった2人の裁判官には、ネット上の表現の自由に関わる重要な事件であることを理解してもらいたい。
 当然、次瀬氏は無罪を主張しました。
 この後、被告人側の荻上守生弁護士から、意見陳述と証拠の説明。
 意見陳述のポイントは、今回の事件を情報化社会におけるネット上の表現や知る権利に関わるリーディングケースと位置づけ、「個人運営サイトの表現の是非を、従来のマスメディアを想定した基準で判断すべきではない」とした点でしょう。ネットの発達によって、(公の場での)情報や議論がマスメディアの独占・寡占ではなくなり、市民による情報発信や情報の双方化も実現して直接的反論も可能になっている。それを、マスメディアの事情を前提とした従来の法理で裁いては、専門知識のない一般市民の言論を萎縮させてしまうのではないか。マスメディアの調査能力を前提とした基準とは別の基準で、相当性を判断する必要がある。
 そういう趣旨でした。

 さて、今回の第2回公判の目玉は、この後の証拠の説明の際に流された黒須英治氏の説法テープです。1996年頃に録音されたと思われるもの。これが約1時間、法廷に流れました。
 グロービート社の会長・黒須英治氏の差別主義者ぶりを示す、これ以上ないくらいの証拠でしたが、あまりに露骨な内容なので、正直、公の場で引用したくないくらいの気分にさせられます。でも引用しなければわからないので、引用しますが、ひどいところを抜粋すると、こんな感じ。選挙直前の時期だったようで、初めの方は政治ネタ(?)。

「新進党というのはユダヤの手先です」
「新進党のメンバーの中には朝鮮人が多い。だいたい、わが国において国際主義を唱える人間は非常に朝鮮人が多いんですよ」

 そして、
「朝鮮はいま、パチンコ屋景気で30兆円なんてバカなギャンブルを認めたおかげで、莫大なカネを持っている。日本を亡き者にしようと思っている」
 として、●●は朝鮮人だ、■■も朝鮮人だと、有名人の名前を列挙したりもしています。
 天皇陛下は神様だ、日本は神の国だ、ということを連呼していました。それはそれで思想・歴史観の問題なのでとりあえずいいとしても、上のような露骨な差別意識に基づいたものである点が重要。こんな発言もありました。

「いまのままでいくと日本に災害が起きてくるぞ。禊ぎを受けますよ。これは関西の、神戸の大地震ね、あれもそうだ。あれは禊ぎですよ。朝鮮人が多すぎたね」

 ほかにも、宮内庁職員の30%は クリスチャン = フリーメイソンで、皇室を亡き者にしようとしているとか、創価学会の上層部の3分の1は朝鮮人だとか、なんて発言も。この説法の中で黒須氏は自分をラーメン花月の「会長」と名乗っているので、グロービート社と平和神軍の関係を示す証拠にもなっています。
 「朝鮮人ネタ」は、もっとひどい罵詈雑言もありましたが、さすがにもう気が引けるのでこの辺で。
 ちなみに黒須英治氏は、日蓮を絶賛していました。日本を、天皇が治める国であるという見方をしていたからだそうです。説法の最後には「南無妙法蓮華経」を繰り返していました。

 テープとは別に、口頭で紹介された証拠の中には、「シナ人は野蛮人である。なぜならシナ人は人間を食うからだ」という黒須氏の発言も。
 代表者がこういうことを口走る団体が、次瀬氏に対して、脅迫や自宅訪問も含めた示威行為を行い、なおかつ民事・刑事で訴えたわけです。それが放置されていて、次瀬氏が起訴されるというのは、確かにおかしな話ですね。

2005年10月 2日 (日)

明日は、平和神軍観察会訴訟(刑事)の公判ですよ

 ラーメンチェーン店の母体であるグロービートジャパン株式会社がウェブサイト「平和神軍観察会」の運営者を刑事告訴した裁判の第2回公判が、明日13:30から東京地裁425号法定で開かれます。
 「平和神軍観察会」は、宗教的集団「平和神軍」とグロービート社との関係を記載していたことから、民事・刑事の両方で訴えられてしまい、民事では「平和神軍観察会」側が上告中です。
 刑事の方は名誉毀損容疑。「平和神軍観察会」側は証拠として、平和神軍の代表で自称・グロービート社会長の黒須英治(中杉弘)氏の説法テープを提出しているとのことですが、そのテープが、明日の公判の中で流されるとのこと。
 現在の「平和神軍観察会」には、訴訟前のコンテンツは残っていませんが、過去の記事で暴露されていた内容から察するに、なかなかトンデモない説法なのではないでしょうか。

 平和神軍観察会訴訟は、「ネット上の表現の自由」と「企業や宗教団体による圧力」について考えさせられるという意味で、とても重要な訴訟。でも、明日の公判に関しては、説法テープを聞いてみたいという興味で傍聴に行くのも楽しいのではないかと思います。
 時間の都合がつく方はぜひ。