カルト映画『純愛』にご注意を
オーマイニュースで、映画『純愛』(主演・小林桂子氏)について、また記事を書きました。
オーマイニュースでは昨年12月以降、上記記事を含めてテキスト記事4本、写真記事1本、動画1本を費やして報じています。上記記事の下の方に表示された「関連記事」「関連TV・Photo」から閲覧できるので、ぜひ読んでいただければと思います。
『純愛』は、自己啓発セミナーがらみの偽装チャリティー映画です。法人格のない「小林桂子基金」を「NPO法人」だと称し、偽造書類を用いて複数の企業を騙しました。その偽装NPO法人の代表理事を自称していたのも、『純愛』主演の小林桂子氏。NPO偽装以前に、自分主演の映画の収益を、自分が代表理事を務めるNPO法人に寄付すると言っている時点で、ちょっといかがわしさが漂う自作自演なんですけどね。
『純愛』は一時、EXILEのヴォーカル・ATSUSHIを広告塔にし、ATSUSHIが主題歌を無償提供していました。しかし偽装に気づいたエイベックスやLDH(EXILE所属事務所)が、昨年10月に主題歌を引きあげたため、『純愛』は主題歌部分や宣伝での告知内容を変更せざるを得なくなりました。
その後、『純愛』製作実行委員長の奥山省吾氏(『純愛』の配給宣伝会社を自称している化粧品・美容関連のプロジェクトデザイン社代表で、小林桂子氏の事実上の夫)らは、エイベックスとのトラブルを隠し、ほかの企業を騙してさらにカネ集めを続け、メディアに宣伝をはたらきかけていました。
そのことが報道によって暴露されると、NPO法人の偽装は自分たちがやったことではなく、自分たちがNPO法人設立を依頼した第三者による詐欺だという釈明を公開しました。
それだけでは説明がつかない不自然さや矛盾点も多い釈明でしたが、彼らは、それ以上の具体的な説明もしないまま、今度は札幌で新たなカネ集めを始めています。自己啓発セミナー卒業生らから集めた1億円以上もの出資金や、企業を騙して得た協賛金は、全部使っちまったんだそうです。
新たなカネ集めの名目は、スイスでの上映会。300~500万円のカネがかかるそうです。といっても、現地でのパーティー代や、小林桂子氏ら関係者の渡航費用なども含めてですが。しかもこれ、オファーの内容から推測するに、興行ではなく試写会っぽい。
国内での興行でさえ収益を出せていないのに、海外に行くためにカネ集めをしているわけです。スイス上映を彼らに持ちかけているのは、昨年、『純愛』が出品されたモナコ国際映画祭のプロデューサーだとか。
“第三者による詐欺”は『純愛』関係者にとって、観客や出資者に誠意ある説明をすべき事件であると同時に、自らの無能さ・無防備さを反省すべき事件のはずです。なのに、「今を逃すとチャンスはない」「99%の確立で欧州での配給が決まる」などというプロデューサーの、まるで悪徳商法のセールストークみたいな言葉に飛びつこうとする。しかも他人のカネで。
これって、彼らが何ら反省していないことの証明ですね。彼らが“第三者による詐欺”を、批判をかわす(あるいは同情を買う)ための単なるキャッチコピーとしか考えていないということです。
さらにおかしなことがあります。映画の興行や宣伝のために支援者にカネをよこせと言ってトークショーをやって、出演者の一人であるYASUTAKA氏がへたくそな歌まで披露り、「札幌応援団結成式」などというイベントまでやっていながら、『純愛』の上映館には、中国に学校を作るための募金箱とかそういうものが見当たりません。中国に学校を作るチャリティー映画のはずなのに、そんなのはそっちのけ。自分たちにカネよこせという話ばっかりです。
これまでぼくは、ぼくなりに「取材者」「報道者」という意識でこの問題を取り上げてきたつもりでした。人によっては、「ホントかよ」って思える部分もあるかもしれないけど、いちおうぼくの自覚というか力加減として、そういう線引きをしていました。
「報道」の目的をぼくは、批判対象を潰すことではなく、世間の目に晒すことで実態相応の評価を受けるようにするとか、彼ら自身がメディアや世間の反応を参考にしてやり方を改めることを期待するとか、そういう部分に置いています。
でも正直、もうキレました。もちろん報道者としての倫理観とか正義感とかもあるけど、もはやぼくの感情レベルで許せなくなってきています。
取材した感触としては、彼らは厳密な意味での詐欺師ではなく、たぶん無能で世間知らずのお調子者という気がします。
騙す意図がなければ詐欺罪は成立しないかもしれません。でも、理をわきまえず暴走すれば、たとえ悪意がなくても立派な害悪です。
オーマイニュースをはじめニュース媒体で記事を書く際には、今後も「報道」としてこの問題を書いていこうと思います。でもこのブログでは今後、『純愛』の撲滅を目指して情報を掲載していこうと思います。
まあ、別に撲滅できるようなプランを持ってるわけでもないですが、なんか、そのくらいの気合いで取り組まないと彼らの暴走に一矢報いることすらできない気がしてきました。彼らも、彼らの周囲の「信者」たちも、報道されたくらいじゃ事実を見ようともしないし、立ち止まって考えようともしないんだもん。
とりあえずみなさん、映画『純愛』を見かけたら近寄らないように注意してもらえればと思います。間違っても、おカネを出したり手伝ったりしない方がいいと思います。いま『純愛』に協力している人たちも、他人を巻き込むことで自分が加害者になるんだということを少しは自覚してほしいです。
『純愛』プロジェクトは、自らが標榜した「チャリティー」と矛盾した活動をすることも、他人に迷惑をかけることも、なんとも思わずにやってのけるカルト的集団です。営利目的でも悪意でもなく、思い込みで間違った方向に暴走している点なんか、狂信的宗教集団にすら似ています。
mixiの『純愛』コミュニティにオーマイニュースの記事のURLが投稿されたら、管理人の奥山省吾氏が削除していました。「情報操作」というほど大それたことでもないですが、「信者」に情報を与えないように努力していることは間違いないようです。
自己啓発セミナーをカルト的な集団と捉える人はいます。『純愛』は、自己啓発セミナーがらみの映画です。しかしそのことが『純愛』をカルト的と評する根拠ではありません。
非常識な手段で、ときにはウソをもつきながら人を集めカネを集める『純愛』関係者の集団は、それ自体が単独でカルト的性格を発揮していると思います。下手したら、小林桂子氏の出身セミナーであるARCインターナショナルや、『純愛』の製作資金集めの草刈場となったETLジャパン以上に、『純愛』プロジェクトの方がカルト的かもしれません。
『純愛』がセミナー受講生にたかった製作資金は「1口100万円」。ARCやETLのセミナーだって、3段階全て受講しても30~40万円です。「金額=カルト度」というわけでもないですが。
というわけで『純愛』は、一般的な意味とは違う意味で「カルト映画」です。
しかし同時に、本来の意味での「カルト映画」とも言えるかもしれません。1億円も費やしたわりには見事なまでに出来が悪い映画だからです。
ゲテモノ観たさで劇場に運ぶという人がもしいるなら、止めはしません。イケてなさも非常に中途半端な映画なので、その気持ち悪さを楽しめて、なおかつ劇場の観客たちの大げさなすすり泣きすらも笑って見ていられるような、そんなコアな人におススメです。わかりやすいトンデモ映画が好きな人には、少々キツイと思います。