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2013年5月 9日 (木)

8bitNews? オーマイニュースの劣化版でしょ

元NHKの堀潤氏が主宰するユーザー投稿の動画サイト「8bitNews」が、こんな感じで話題になっています。「8bitNews」はどうもニュースサイトを自認しているようなのですが、読者がYouTubeにアップした動画を「8bitNews」に登録することで、「8bitNews」側のチェックや編集を受けることなく、「8bitNews」による「ニュース」として配信される、というものです。要するに、単なる一般ユーザーによる投稿サイトです。

わたくし藤倉は、かつて市民メディアを標榜していた「オーマイニュース」で記者をしていました。

オーマイニュースは、もともと韓国で「盧武鉉大統領を当選させた市民参加型ニュースサイト」とも言われ、2006年にソフトバンクとの提携により日本版サイトをスタート。しかし、市民記者が持論を垂れ流す偏向した自己主張記事や、事実誤認を含んだ記事などが散見され、またそういった問題に対する編集部サイドの対応のまずさもあって、しょっちゅう炎上していました。結局、08年に「オーマイニュース」は終了。「オーマイライフ」と名を変えて存続したものの翌09年には完全消滅しました。

藤倉がオーマイニュースで記事を書き始めたのは、初代編集長の鳥越俊太郎氏が大した仕事もせず病気を理由に辞任した頃です。辞任した直後からテレビとかで自分の病気をネタにするお仕事を始めた鳥越氏の体を張ったタレント根性には、ほんと脱帽です。

藤倉はオーマイニュースで、割といい原稿料を頂いて記事を書く「プロ記者」でしたが、それは少数派。「オーマイニュース」は原則として、記者登録している一般ユーザーである「市民記者」がとても安い原稿料(掲載場所によって300~2000円、後に500円だったかな)で原稿を書き、編集部のチェックや修正を受けて記事が掲載される、というものでした。一般ユーザーが投稿した記事はボツにされることもあれば、掲載時の扱い(トップ記事かどうか)によって原稿料が変わったりもしました。

オーマイニュース亡き後、藤倉はPJニュースという市民メディアで「誰がオーマイニュースを殺したか」という記事を書きました。

過保護な姿勢が“報道”を自己否定した=誰がオーマイニュースを殺したか(上)
初代編集長・鳥越俊太郎の罪=誰がオーマイニュースを殺したか(中)
プロ記者はいったい何をしていたのか=誰がオーマイニュースを殺したか(下)

この記事が総括として充分かどうかはわかりませんが、とりあえずオーマイニュースには、以下のような問題がありました。

・ニュースサイトを謳っているが、実際に投稿される記事は身辺雑記的な内容が目立った。
・政治や社会問題に関連する記事を頻繁に投稿する市民記者は、客観的事実を無視した持論開陳型が目立った(たいがい、炎上するのはこのタイプの記事)
・事実関係や辻褄がおかしい記事をボツにしたり、そういう記事を書く記者をしっかり指導する能力が、編集部になかった。原稿を直されることに不満を抱くクレーマー的な記者を冷たく突き放すこともできず、おかしな原稿お掲載してしまっていた。
・記事や記者への批判も含め、サイト運営上の問題についての対応や関係者の発言が拙く、外部や市民記者からの批判や不信感は編集部にも向けられていた。

オーマイニュースが、かなりダメダメなニュースサイトとしてその歴史を閉じてから4年。今度は「8bitNews」という市民メディアが登場したわけですが、両者の主要な仕組みを比較してみましょう。

【オーマイニュース】
・市民記者には原稿料支払いがあったため、銀行口座や実名等の個人情報を編集部に登録していた。
・記事は原則実名での署名記事だった。
・市民記者が投稿した記事は編集部がチェック・編集してから掲載し、ボツにされることもあった。
・商業宣伝記事は、編集部の許可がないものは禁止。
・当初、市民記者規約において、記事をめぐり第三者が損害を受けたと主張した場合は編集部が責任を負い、記者自身には最大限協力してもらうとしていた(ただし裁判に負けた場合、記者自身の故意や重過失でない場合は上限50万円との条件付きながら、市民記者自身が賠償せよ、としていた)。

【8bitNews】
・「記者」は自身のFacebookアカウントと同期させるだけで8bitNewsに投稿者登録でき、身分確認も何もない。原稿料等はないので個人情報登録も不要。
・そういうわけなので、投稿者名が実名である保証はない。
・投稿された映像はノーチェックで即時掲載される。ということは、修正はもちろんボツもない。
・商業宣伝映像の投稿も完全無制限。
・利用規約において「取材、および記事・動画投稿は発信者個人の責任で行う」「事務局は『8bitNews』の利用者(発信者および閲覧者)と第三者間に生じたトラブルに関して一切の責任を負わない」と、完全に投稿者任せ。

表向きの仕組みだけ見ると、オーマイニュースの方がはるかにちゃんとしていたように見えます。しかしそのオーマイニュースも、実際には会社が費用負担した韓国への研修旅行でユーザーに替え玉参加されてしまったり、編集部のチェック能力の杜撰さからしょうもない記事が掲載されてしまって炎上したり、散々な状態でした。非常識な市民記者が群がってきてしまったがゆえの不幸ですが、それに対する備えが機能していなければ、当然こうなります。

一方で8bitNewsは、形式上の備えはあったが機能しなかったオーマイニュースと違って、そもそも備えすらありません。ノーガードで「素人さん寄っといで~」とやっているわけです。明らかに、オーマイニュース以上に脆弱な仕組みです。

素人による投稿映像をノーチェックで並べて「ジャーナリズムでござい」とか言っている時点で目を覆いたくなる勘違いなのですが、問題に対する備えの無さは、もはやジャーナリズム云々以前の問題でしょう。

藤倉はオーマイニュース編集部の業務にはノータッチでしたが、記事の打合せ等で編集部にはちょくちょく出入りしていました。DQNな市民記者たちへの対応に頭を悩ませる編集部員の姿も見ています。オーマイニュースの末期にPJニュースへと移行してきたDQN市民記者たちにPJニュースの小田光康編集長がブチキレているのを、藤倉は脇で眺めながらニヤニヤしていたこともあります。

どのくらいDQNかというと、編集部が原稿に使われていた漢字表記を標準的なものに修正したことが気に食わないと喚き散らして記者を辞めてしまう人とか、得意げに知ったかぶった文章で堂々とデマを書いてよこす人とか、キャプションも付けずに花の写真とか送り付けてくる人とか、ニュースでも何でもない風景や花の写真を頻繁に投稿して原稿料を稼ごうとしているとしか思えない人とか、編集部にクレームを付けてはビルの前で編集部員を待ちぶせするような人とか。これまたジャーナリズム云々以前に、人としてちょっと狂った感じです。

市民による情報発信の価値は否定しません。しかし、インターネットだのブログだのが登場した時点で、市民はすでにある程度の発信力を手に入れています。その中で、人の関心を集める能力に長けた人々はそれぞれに有名ブログを開設するなどして活躍しています。有名ブロガーになれない市民の中にも重要な情報を発信できるポテンシャルはあるでしょうが、そこには同時に、参加型サイトにでも投稿しなければ誰からも相手にされないであろう類が(下手をしたら、人間性に問題がありすぎて、情報発信どころかコミュニケーション自体が困難な人も)混じっているわけです。

藤倉が主筆を務める「やや日刊カルト新聞」が、プロではない記者陣を擁している一方で記者を一般公募しない理由は、その点にあります。素人参加のニュースサイトに必要なのは「信頼できる一般市民」なのであって、玉石混交の有象無象ではありません。「カルト」というニッチなテーマの場合は、そのテーマに感心を寄せ取材や勉強を重ねている人とシンポジウムや勉強会、トークイベントなどで直接出会う人を記者にスカウトできるという幸運な事情もありますが。

「市民」を一般公募すると、投稿される記事や映像の質が高いとか低いとかというレベルの問題ではない、正常とは思えない人だって寄ってきてしまうわけです。もちろん、悪意を持った人だって寄ってくるかもしれません。本人は善意のつもりで実際にはイカれたことをするという人だって、世の中にはたくさんいます。

オーマイニュースが4年前に失敗に終わり、その後、ネット上のステルスマーケティング(ステマ)問題が一般メディアで取りざたされたこともありました。そんな状況の中で、オーマイニュースよりさらに無防備な「市民メディア」を元NHKアナウンサーが開設し、素人を煽っているわけです。これでは、遅かれ早かれ、オーマイニュースの市民記者どころではないトンデモさんに利用されかねません。

ただ、オーマイニュースの時代よりは希望を抱ける面もあります。オーマイニュースは本当にしょうもないサイトだったので、多くの人はすぐに関心を失い、瑣末なことに憶測を重ねて粘着するようなウォッチャーがオーマイニュース批判の中心になっていきました。サイトもDQNなら批判者もDQNでした。しかし8bitNews批判においては、ざっと見渡したところ、そういう不毛な粘着質な批判で盛り上がっているという感じには見えません。事務局の内部事情をうがった憶測でなじるのではなく、具体的な投稿映像や仕組みを指摘する批判になっています。オーマイニュースの時よりも、能力の高い批判者が口出ししているように見えます。

仮に8bitNewsが批判を理解できず厚顔無恥にひた走れば、多くの人は同じような批判を繰り返し続けることに飽きて、オーマイニュースウォッチャーのように不毛な粘着さんだけが残ってしまう可能性もないではありません。そうならないよう、今後も理性的で破壊力のある批判がなされていくといいなと思います。

あと、とりあえず8bitNewsの堀潤氏は、ネットのニュースサイトの歴史を少し勉強した方がいいでしょうね。前回の「市民メディアブーム」から10年も経ってないんですよ。

なんて昔を振り返りつつ、「実はオレの嫁、オーマイニュースで知り合った市民記者なんだよ。市民記者と不倫して略奪婚しちった」と無意味に暴露してみる。オーマイニュースはダメダメだったけど、藤倉にとっては素晴らしい出会い系サイトでした、というオチ。

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コメント

記事の内容と直接関係なくて申し訳ありません。記事を読んでいたら、「やや日刊カルト新聞」の運営方針のほうに興味が湧きました。

やや日刊カルト新聞の記者は9名とのことですが、最近は藤倉さんとエイトさんの記事しか見かけないように思います。(今年はmammaさんの記事は一度あったかと思いますが)。初期の頃は他の記者様の記事も時々あったと思うのですが、何か方針の変化があったのでしょうか。また、その記者の方々は、市民記者という認識で良いのでしょうか。

やや日刊カルト新聞は、プロではない記者もおられる一方、市民メディアともいえないと思うのですが、藤倉さんはどのようなメディアと考えていますか?

いきなり不躾な質問をして申し訳ありません。応援しております。

> やや日刊カルト新聞は、プロではない記者もおられる一方、市民メディアともいえないと思うのですが、藤倉さんはどのようなメディアと考えていますか?

すいません、説明しようとしたら大作ができそうな勢いになってしまったので、もうちょっとお待ち下さい。

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